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第十二章:冬の交配


 女性を自分の部屋に上げるなんて事、今まで無かったし緊張するな。
 玄関からリビングを通り、部屋へと案内した。
「ここが一応、俺の部屋ってことになってます」
「ほぇー。おっきい部屋だねー。トイレとお風呂までついてるんだ?」
「ここだけじゃなくて各部屋についてるみたいですよ。でもお風呂は地下に大浴場があります」
「おお、すんごいねー。あ! 外は、庭になってるんだ」
 普段あまりカーテンを開けないから気にも止めていなかったが入り口のドアと反対側にある窓の外には家庭菜園が出来るような、ちょっとした庭がある。この先、使うことはないだろうが。
 窓際で外をキョロキョロと見まわす彼女の左腕を見ると先ほどより赤く腫れていた。
 そりゃ木刀を素手で受けたんだ、大丈夫なはずがない。

「あ、あの纏さん。腕、大丈夫……じゃないですよね? 手当てしますからこっちに来てください」
 そう言うと振り向き、ニッコリと白い歯を見せた。
「君、優しいね。でも、お姉さん強いから大丈夫よ。ささ、お酒飲も?」
 俺の前であぐらを掻いて座り、ビニール袋をガサガサと漁り始めた。
 この人はなんて強気で頑固な人だ。だけど手当てはきちんとしなくちゃだめだ。
 無言で出入り口横の棚から白い箱を引っ張り出した。
 昨日、木刀女にフルボッコにされた時、お世話になった救急箱だ。

「お酒飲むのは手当てしてからでも遅くないですよ」
 取り出した冷却スプレーをシュッと吹きかけ、冷却シートを貼り、包帯で優しく巻いた。
「ありがとさん、手際いいんだね」
「打撲の時は冷やすのが一番ですから。ほんとは氷がいいんですけどね」
「そんなに気にしなくても良かったのに」
「たかが打撲って甘く見てると炎症から腫れが酷くなることがありますし一応、応急処置ってことで」
 この無駄知識、誰得。でもやってて良かった高校時代の救急処置実習。

「それじゃ、気を取り直してお酒飲みましょうか」
 ビールの蓋を開けると同時に、プシュッと飛び散った炭酸が顔にかかった。
「うおっ、つめたッ!」
「あ、さっき下に落としちゃったからかも」
 そう言って俺の頬についた泡をぺろっと舐めた。
「あれちょ、纏さ……んっ!?」
「んちゅ……んぅ……ちゅ」
 あ……ありのまま今、起こった事を話すぜ!
 泡を舐めとるだけかと思ったら、いつの間にかキスをされていた。
 な、何を言っているのか分からねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった。
「っ……はぁ、ちゅ……ちゅっ……はぁ、っ……」
 甘い唾液の味と淫らな汗の匂いで酒を飲んでもいないのに頭がくらっとした。
 ふんわりとした柔らかな唇が俺の唇に吸いついてくる。
 そのまま唇を開いたかと思うと口の中に舌を差し入れてきた。
「んむっ!?」

 細く柔らかな両肩をポンッと押さえて軽く引き離す。
「ぷはっ……あ、あの、纏さん酔ってます?」
「んーん。酔ってないよー。まだ飲んでないじゃん。早くビールちょーだい」
 妖しく潤んだ目で首を振る彼女にビールを差し出す。
 缶ビールを受け取るやいなやゴクッゴクッと喉を鳴らし一気に飲み干し、プハーッと口元を拭った。
「いい飲みっぷりですね。それじゃ俺も失礼して」
 持っていた缶に口をつけ、一気に流し込んだ。冷たい液体が口内に広がる。
「んーっ! 冷えてて美味いですね」
「ふひひっ、君もなかなかイケる口じゃないの」
 2本目を飲み始めた纏さんの口端から僅かにこぼれ落ちた水滴を何気なく目で追うと、頬から鎖骨を通り胸元へと流れ落ちていった。
 白衣で半分以上隠れてはいるが柔らかそうな美白の乳房が視界に映りこむ。
 そんな俺の熱い視線に気づいたのか、それとも酒からくる体温上昇からか、胸元に人差し指を入れパタパタと扇ぎだした。

「冬なのになんか、アツいなぁ」
「お、お酒のせいじゃないですかね?」
 気づかれないように視線を逸らす。
 しかし、コブのように盛り上がった股間部分は隠せなかった。
「ん? どうしたの? ココなんか窮屈そうだけど」
 Sっぽい笑みを浮かべた纏さんの手が見苦しいまでに屹立した肉棒へと伸びる。
 声を出す間もなくファスナーを開けられ、血管の浮かび上がったソレが引っ張り出された。
「ま、纏さん……な、なにを……」
「君のエッチな視線でおねーさん、なんかムラムラしてきちゃった」
「え、ちょ、纏さん……?」
 白衣のボタンを1つ、2つと外すと胸元をはだけさせた。
 黒の下着に包まれていた白い2つの丘、その上には桜色の突起物がちょこんと乗っかっていた。
 我慢汁でべとべとの勃起したペニスがむにゅっとした柔らかい感触に包まれる。
 これがいわゆるパイズリというやつなのだろうか。

「う……ぁ……」
 先端から肉棹へ垂れた自分の熱液がローション代わりとなって快感を生み出す。
「ビールもいいけど、こっちも……ね?」
 その豊満な胸でピストン運動をしながらカリを咥え、ちゅぅっと軽く吸われた。
「あっ、あぅ……ぁ……っ」
 肉棒をしっとりとした柔らかい唇が覆う。
 胸を上下に揺すりながらも肉棹への刺激は忘れられてはいない。口内で裏筋をくすぐられるようにねっとりと舌の腹で舐められる。
 今まで体験した事のない妙技に、陰茎の根元に強い射精感が感じるまでそう時間は掛からなかった。

「ま、まといさん……っ! 俺っ! で、でちゃうっ! でちゃいますっ!」
 グッと根元に力を入れ射精の準備をした。しかしイク寸前、突然ペニスを吐き出し――
「んぐッ!?」
 射精を止めるように根元をきゅっと指で締められた。

 ――ビクンッ! ビクンッ! ビクンッ!

 唾液と我慢汁でぐちょぐちょになったペニスが脈打つ。
 しかし先端からは子種がたっぷり詰まった濁液は出ず、行き場の失った精子たちが逆流するような、そんな異様な感覚に襲われるだけだった。
「ぁ…………ぁ…………」
 声にならない声しか出ない俺に、彼女はムンムンとした色っぽくもあり艶やかな顔で微笑んだ。
「纏……さん……なん……で……?」
「まだ出しちゃダメよ、無駄撃ちはダメって秋穂くんに言われてるでしょ?」
「なっ、なんでそれを……」
 不思議そうに見つめる俺にフッと笑いかけ、服の襟を持ってぴらぴらとさせた。

「白衣で分からない? おねーさん、こう見えても少子化対策研究所の職員なのよ。
 どう? 驚いた? ちなみにあたし昔、秋穂くんとセックスしたことありまーす!
 秋穂くんドSだけど、なかなかテクがあってね――」

 驚いたなんてもんじゃない。もちろん職員ってことにじゃない。
 後半の聞きたくなかった告白にだ。
 つまりなんだ、この人とセックスしたら俺、秋穂さんと穴兄弟ってことになるのか?
 じょ、冗談じゃない。それだけはなんとしても避けなければ……。

 しかし俺の気持ちとは反比例して先ほど射精できなかったペニスは凶悪なほどにそそり勃っていた。

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