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第十五章:まっしろ


「む、じ、ん、とう……来たーっ!」
 約六時間のフライトを得て、ついに到着したプライベートビーチ。
 いや――プライベートアイランド!
 この島は日本から遥か南にある無人島で、年間平均気温が二十四度前後という非常に過ごしやすい島なのだ。だからこんな薄着でも大丈夫!
 到着するやいなやパンツ以外の召し物を全て脱ぎ捨てた俺は、砂浜へと直行した。
「うーん、空気も澄んでて心地いい……」

「それにしても、よくこんないい島が売ってましたね、お兄さん」
 薄いピンク色のキャミソールにデニムハーフパンツを穿いた睦月ちゃんが少し眠たそうに俺に訊ねた。
「おはよう、睦月ちゃん。この島は去年に噴火した海底火山から出来た物なんだけど、波で少しづつ削られてるらしくて、あと数年で島が無くなっちゃうんだって」
「あー、ニュースで見ましたそれ。だから買えたんですね」
「そうなんだよー。しかも隣の島とセットで驚きの二千万円!」
「安いんですか、それ」
「無人島の中では安い方だと思うよ。でも、もうひとつの島は少し厄介な問題があってさ」
「問題、ですか?」
「うん。もうひとつの島は元からあったらしいんだけど、かなり狂暴な動物たちが生息してるんだって。だから足を踏み入れると本当に危険――」
 プルッ……プルルルル!
 なんだか、話の途中に電話が鳴ることが多いな。一体誰からだろう。
『非通知着信です! 非通知着信です!』
 携帯から声が鳴り響く。
「非通知? もしもし……?」
 電話を耳に当て、耳をすませたが、ノイズが多くて聞き取れない。ここの電波が悪いせいだろうか。
「もしもーし。どなたですかー?」
『……み………………んだ………』
「もしもーし」
『君は一体………どこに………だ! 動物……っぱい…………だ!』
 雑音と息の切れた声でよく聞き取れないが、この声はよく知っている。どう考えても、あの人に違いない。
「もしかして………」
『ッハァハァ! 衛星っ………辿って来てみたはいいがッハァハァ………動物だらけで襲われッハァハァ………あっ、ちょ、やめ――』
 バキッ、っという何か大きな物に踏まれたであろう音がして通話は切れた。
 電波を辿って近くまで来るとは恐るべし。しかし隣の島へ行くとは何と不幸な。
 骨も拾えません、申し訳ありませんでしたっ。
「なんか電話口から凄い音してましたけど、誰からですか?」
 心配そうな顔で通話の切れた携帯を覗きこんだ睦月ちゃんに俺は首を横に振り、答えた。
「間違い電話だったみたい」
「間違い電話、ですか……?」
「そう。間違い電話。なんか慌ててたみたいだったから番号押し間違えちゃったんじゃないかな」
 嘘も方便。嘘も方便、っと。睦月ちゃんに余計な心配は掛けられない。それに、せっかく南国に来たんだもの!
「そんなことより泳がない? こんなにきれいな海なんだよ!」
 あの声を脳裏から掻き消すように無理やり話題を変える。
「そうですね! 私、水着に着替えてきます!」
「うん! 俺、準備運動しとく!」
 一足先に着替えをしているセレンたちの元へ走って行った睦月ちゃんの背中を見送ってから、俺は一度だけ海のように深い、深呼吸をした。

「ふうーっ」
 さて、気持ちを切り替えて……と。
 静かに目を閉じて、波の音に耳を澄ませる。
 聞こえる、聞こえるぞ。
 島のすべてが俺を歓迎している!
 俺は目をカッと見開き、
「真っ白な砂浜、鮮やかな青に透き通った海。優雅に泳ぐ魚たち……ついに来たぞ、俺たちの楽園!」
 両手を広げ、海に向かって一人、優越感に浸る。
 そう。ここは誰にも邪魔できない俺だけの、俺たちだけの楽園なのだ。

「アンタ、はしゃぎすぎじゃない? ま、気持ちは分かるけどね」

 セレンの声がして、振り返る。
「おお……スク水とはなかなか……」
 スクール水着。それは貧乳キャラお約束の水着である。
 伸縮性のあるスクール水着は肌にぴったりとくっつき、セレンの胸を余すことなく表現していた。
「何ジロジロ見てんのよ。学校のしかなかったんだから仕方ないでしょ」
「いやいや、素晴らしい。特にこのお尻が、けしからんっ」
 いつの間にかセレンの背後に立っていた纏さんがセレンのお尻を両手で鷲掴みにしながら言った。
「うーん、なかなか」
 セレンと纒さんの絡みもなかなか絵になるな。俺の中で新しい性癖が産声を上げた瞬間だった。
「ひゃ! やめてください、纏さん!」
 恥ずかしそうに顔を赤くしたセレンは後ろを向き、纏さんの姿を見て再び声を上げた。
「わ! ていうか纏さんほとんど裸!」
「今日という日の為に通販で買ったマイクロビキニ! 勝負水着ってやつだよ〜!」
 説明しよう。
 マイクロビキニとは僅かばかりの布で胸の突起部と性器を覆っただけの挑発的な水着のことである。
「勝負って事は……」
 無意識に俺の唾液が喉を通過した。
「少年も、そのつもりでここに来たんだろ〜?」
 そう言った纏さんの表情は今すぐ犯してくれと言わんばかりの扇情的な顔をしている。
 こりゃあ、辛抱たまらん。
「もちろんでございます。纏お姉さま」
 砂浜に片膝をついて頭を下げる。ここからの眺めは、なかなかにイヤらしい。

「何をやっているんだ貴様ーッ!」
 突然、怒鳴り声が聞こえた。この声は……雅だ。隣には睦月ちゃんもいる。
「お、雅やっと着替えたかー。ってなんだその格好。サラシ?」
「あ、あ、姉上には言われたくありません! 何ですかその破廉恥な水着は!」
「勝負下着ならぬ、勝負水着! なかなか淫靡だろ〜?」
「常識の範囲を越えています!」
「雅、お前だって海にサラシは無いだろう。さぁ、今すぐその巨乳を開放しなさい!」
「は、はい! って何を言っているのですか姉上!」
 姉妹喧嘩が始まった。なんだこれ。
 あぁ、もう放っておこう。それより今は……。
「お、お兄さん。どうでしょうか」
 睦月ちゃんがモジモジしながら小走りで俺の元へと駆け寄ってきた。
 花の刺繍をあしらった可愛い純白のビキニを着て。
「すごく可愛い水着だね。それを着てる睦月ちゃんはもっと最高だ」
「えへへ。ありがとうございます」
 あぁ〜もう可愛すぎる! 半勃ちしてきた!
 けどセックスは夜にすると決めている。
 満天の星空の下での乱交セックスをすると! 嗚呼、なんという素晴らしき計画。
「お、俺……」
「お兄さんどうしました?」
「俺、ちょっと泳いでくるわ!」
 性欲を紛らわすために俺は海へ飛び込んだ。

「ぷはーっ。ぷはーっ」
 海の真ん中まで勢いよく泳いで、そこで気づいた。気がついてしまった。
「あれ、俺泳げなかったはずなのに」
 そう頭で理解した途端、泳ぎ方を忘れた魚のように、水を蹴っていた足の動きが止まる。
「あぐっ」
 それとほぼ同時に、何かに引っ張られたように右足が攣った。
「だれっ、誰か助けっ、あぷっ」
 そういえば準備運動すらしてなかった。自業自得だが、こんな所で俺の人生は終わるのか。
「うぷっ、ハァッ、あがっ、助けっ、ぐぼっ――」
 大量の水が口から気管、そして胃に流れ込み……俺は死を覚悟した。

 ――しかし、気が付いたときにはどこかの岩場に仰向けで大の字に寝ていた。
 さらに目の前には満天の星空が煌びやかに輝いている。
「た……助かったのか?」
 こんなに時間が経っているのに驚いたが、生きてて良かった。

『あっ』
 今までに聞いたことのない、ありえないほど水のように透き通った女性の声が耳に届く。
 そうか、誰か助けてくれたのか。助かった。
「どなたか知りませんが、ありがとうございま………ってうわ!」
『人の方、申し訳ございません』
 そう言って頭を下げた目の前の美女は驚くべき姿をしていた。
 髪は美しい海を取り込んだような蒼。その長い髪に隠れる美白の乳房。
 そして、月の光に反射して黄金色に輝く鱗。
 おとぎ話でしか聞いた事のない人魚が目の前の岩に腰掛け、こちらを見ていたのだ。

『本当に申し訳ありませんでした。男が珍しかったもので』
「え、えっ……え?」
 俺は未だ状況を把握出来ないでいたが、彼女は物憂げな表情で胸に手を当て、こう続けた。
『私の名は音姫。この海の底にある龍宮に住んでいる人魚です』
「や、やっぱり人魚……」
『はい。そして貴方を、貴方の足を引っ張ったのは私です』
「えっ、えちょ、え? 助けてくれたんじゃ……」
『はい。助けたのも私です。全てお話します』
 どうして人魚がいるのか。どうして助けてくれたのに謝っているのか。
 謎だらけだったが、それは目の前の彼女が話してくれた。

『――という訳で私が子供を作らなくては、この海の人魚の血筋は潰えてしまうのです』
「そう………だったんですね」
 粗方理解した。
 どうやら人魚の世界でも男のチンコが溶けてなくなってしまったらしい。
 それで子孫が残せなくなり、龍宮は危機に面しているというのだ。
 なんということだ。関係ない人魚の世界にまで、とばっちりがいっていたとは。
 そんな大変な状況だ。男が珍しく、つい俺の足を引っ張ってしまった事にも頷ける。
「俺に出来る事は……ない?」
『先ほども言いましたが、子供が欲しいのです。ですから、この卵に精子をかけて欲しいのです』
 そう言って彼女はどこからともなく、イクラを大きくしたような橙色の卵を取り出した。
 夜なのにキラキラと輝くそれはまるで太陽のよう。
「え、あの。これに精液をかければ、いいの?」
『はい。何かお手伝い出来る事があれば、遠慮なくおっしゃって下さい』
「お手伝いとな? それじゃあ人魚の世界でのオーラルセックスというものを是非お願いしたいな」
 遠慮なく言ってくれというのなら、その言葉に甘えるしかあるまい。
 人間以外とヤるのは初めてだが、二度とない経験だろう。
 これが獣姦に入らないことを願うばかりだが。
『オーラルセックス………。つまりそれは私共が以前、マーマンとしていた行為という認識で宜しいですか?』
「マンマン? あぁ、マーマン。男の人魚か。うん、それで頼むよ」
『わかりました。ではこちらに来てくださいまし』
 彼女の座っていた岩場に近寄ると、芳しい良い香りが俺の鼻を刺激した。
 それから彼女はヒレで器用に俺の水着を脱がし、そのヒレで股間を覆う。
『では行きます』
 そう言うと、ヒレから粘着性のある謎の液体が噴出され、俺の股間はみるみるうちに泡立てられた卵白のような白く細かい泡で包囲された。
「ぐもっ」
 彼女の尾びれは奇妙でもあり、器用でもある動きで手コキならぬヒレコキを俺に施した。
「あっ、気持ちいいっ、あっ、あっ」
 俺はその性技を存分に堪能し、すぐに果てようとしていた。
「あーイク、あー、イク――」
 絶頂に達しようとしたその時を見逃さず、彼女は卵を絶妙な位置へと差し出し、満面の笑みでこう言った。
『本当にありがとうございました』
 ――ビュルルルルッ!
 久しぶりの射精の瞬間に俺は最高の快楽を感じた。
 そして、精液を掛けた橙色の卵は白く光を放ち………周囲を包み込んだ。

「――ちょっと。ねえ、ちょっと!」
 セレンの怒号で目が覚める。
「ってあれ? 俺はさっきまで人魚の音姫さんとセックスをしていたはずじゃ」
 何故かまた大の字で寝ていた俺は、首を左右に振り、辺りを見回したが彼女の姿はなく、セレンを含めた女の子達が呆れた様子で俺を見下ろしているだけだった。
「乙姫ぇ? なーに言ってんのあんた。どうみても一人じゃない。しかも全裸って………」
 セレンは額に手を当て、溜め息をつく。
「お兄さん、こんな所で一人で何してたんですか?」
 睦月ちゃんはひきつった顔をして、そう言った。
「いや溺れて、人魚に助けられて……」
「人魚? 何を寝ぼけているんだ貴様は。夢でも見てたのか?」
 弁解しようとするが、雅に言葉を遮られる。
「いやいや、本当なんだって。ホントに人魚に会ったんだって。それどころか、手コキ………じゃなくてヒレコキしてもらったんだって!」
「少年〜。どうせ人魚としてる妄想でもしてプログラム後のオナニーを満喫してたんだろぉ〜? ユー、正直に言っちゃいなよ」
 纒さんは、からかうような口調でニタニタと笑う。
 やばい。これじゃ、オナニーをしたいが為に一人で泳いで、ここまで来た挙げ句に妄想をいい放つ変態野郎になってしまう。
 俺が焦りを感じたその時、
「私達がいるのに一人でするなんて最低だと思わないの?」
「そうですそうです! 一人でしてないで私達としてくださいっ!」
 セレンが右の乳首を、睦月ちゃんが左の乳首を、まるでアイスキャンディーを舐めるように、ねっとりと舐め出した。
 そして日虎さんは何を思ったのか“気を付け”の態勢を取り、
「何ならオレが人魚役しますよ、大尉!」
 ピチピチと水を得た魚のように跳び跳ねる仕草をした。
 何その伝わりにくい物真似。
「いや、ごめん。寝ぼけてたみたいだわ。普通にセックスしよう」
 日虎さんの人魚物真似が見たくない俺は、乱交に突入することを決意した。

 岩場から海の見える砂浜へ移動した俺たちは早速行為を開始する。
「そんじゃ最初は誰から行こうか」
 全員全裸になったのを確認してから、教壇に立ち、教鞭を取る教師のように腰に両手を当てて周りを見回すと、
「もちろん、あたしが!」
「いやいやウチが!」
「何を言っているのですか! 私でしょう!」
 期待通りのリアクションである。
 みんなが我先にと前屈みになって手を上げる中、ただ一人、敬礼のポーズを取る人物がいた。
「では、俺が」
「どうぞどうぞ……って、え?」
 意外な人物が発言し、皆が一瞬だけ硬直する。何を隠そう、元軍人の日虎さんである。
 直立している彼女の全身を上から下まで眺めいる。
 彼女の祖父であるオフェラさんが言ったとおり、胸は筋肉質で、下の毛は若干、他の皆より濃かった。
「皆には悪いが、俺に譲って欲しい」
 誰も何も言えなかった。
 プログラムの初期メンバーの中で唯一、日虎さんだけ俺に抱かれていないからだ。
 睦月ちゃんは本番こそしてないものの、アナルセックスは体験済みだし、日虎さんだけが女の子の中で異様な存在となっていた。
 決して彼女に魅力が無い訳じゃない。むしろ魅力満載だ。
 ただタイミングが合わなかった。
 俺が経験豊富になってから彼女を抱こうと決めていたのが災いし、そのままプログラムが終了。
 結果として彼女にこんな台詞を言わせてしまったのである。
 これでは男が廃るってもんだ。
「さあ、日虎さん……いや、真琴さん。始めよう、ファーストセックスの時間だ!」
 真琴さんを後ろ向きにさせ、そっと、真琴さんの均整のとれた褐色の尻肉に手を伸ばす。
 それから、カチカチに硬くなった肉棒を彼女の肉唇へと突きたて、中に押し込んだ。
 ――グググッ! グリ……グリグリッ――ニュポッ!
 真琴さんへの挿入は今までの処女たちより比較的スムーズに行う事が出来た。
 普段から筋トレやら運動やらをしているからだろう。
 不思議と血も出なかったし、叫び声すら上げなかった。
「真琴さん、キツくない?」
 気遣うように優しく語り掛けたつもりだったのだが、
「大尉どのこそ、俺の体、筋肉質で嫌じゃないか?」
 敬語とタメ口が入り乱れた奇妙な口調で逆に気遣われてしまった。
「いーや全然。むしろ引き締まっててすごくいいよ」
 お世辞ではない。欠点が見当たらないほど、良い体つきをしているのだ。
 しかも程よく濡れている。
 ――クチュッ、クチュ、クチュッ……
「大丈夫? 痛くない?」
 膣内を傷つけぬよう、なるべくスローペースで腰を動かす。
 やはり後背位は顔も見えないし、不便だな。
 初めてでいきなりこの体位はなかったな、と少し反省した時だった。
「大尉どの……俺、何か変です。なんだか頭の中が変に……」
「変? じゃ止めたほうがいい?」
「い、いや……止めるより、もっと思いっきり突いてみて……ください」
「えっ。わ、分かった」
 ゆっくり動かしていた腰の動きを徐々に早くする。
 ――クチュッ、クチュッ、クチュンッ、クチュンッ!
 いやらしい音が海に響き渡り、そして波の音で消される。
「……ッ……ッ……」
 真琴さんの声にならない声が漏れだす。
 しかし喘ぎ声を出すまでには至っていないようだ。
「真琴さん? 気持ち良くない? 大丈夫?」
 腰の動きを休めることなく、真琴さんに語りかける。
「……ッ……はひっ! だいっ、じょうっ、ぶっ、でっ、ッ……ッ」
 あれ、真琴さんもしかして……。
「真琴さん、声出すの我慢してない?」
「はふっ……声ッ……公衆の面前でッ……そんな、声を出すなどッ……」
 やっぱりそうだ。これ、確実に我慢してる。
「恥ずかしいのは分かるけど、声を出さないと本当に気持ち良くはなれないよ」
「……ッ……恥ずかしくなどッ……ッ……」
 あー、こりゃだめだ。こういう場合は……っと。
 腰を押し込んだ瞬間に手を胸に伸ばし、硬くなった乳首をワンクリック!
「あふぅ!」
 誰にも触れられたことのなかったであろう、その桜色の突起物を二本の指で捏ねくりまわす。
「たっ、大尉どの! 何をッ!」
「気持ちいい時は声を出す! これ、女の常識なり!」
 人差し指と中指で乳首を挟み、残りの指と手のひらで、ボリュームたっぷりの乳房を乱暴に包みこみ、揉みしだく!
 それと同時に緩急をつけてピストン運動を繰り返す!
「どうだ! 真琴さん、最高だろう?」
「あはぁあああっ! あひぃ! あっ、あっ、あんッ!」
「最初は誰だって恥ずかしいものだ! それを乗り越えてこその真の女というもの!」
 ――パンッ! パンッ! パンッッッ!
「あうううううっ! 大尉どの! 俺、俺っ! きもぢ、きもぢいです!」
「そうだろ、そうだろう! 俺も気持ちいいぞ!」
 なんか真琴さん、一人称が『俺』だと男とヤってるような感覚が芽生えるのだが、気にしない方向で……。
「って……」
 ふと、睦月ちゃんが視界に入る。
 なんだか顔が妖しく火照っているように見えるが、まさかボーイズラブ的な妄想してないよな?
「ははは……」
「大尉どのッ! また変です! 頭があっ! 真っ白にっ! あはぁっ!」
 掛け声と同時に、膣内に入った俺の肉棒が、真琴さんの膣力によって喰い締められる。
「ちょ、真琴さん、力、強ッ――!」
「あううっ、あふぅっ、たっ、たいいどのおっ、おっ、ああっ、あああああっ!」
「くはっ!」
 ビビビッと強い電撃が走る。
 これは、この電撃は――
「ま、真琴さんッ! ダメだっ! そんなに強く締めたらッ!」
 凄まじい流動感が股間部へと押し寄せられ、
「イ、イグググッッッ!」
 ――ドビュッッッ! グリュブブブッッッ!
 俺は真琴さんの膣内で果てた。

「あふぅ、あう、はぁっ、はぁっ……最高でした、大尉どの」
「だ、だろう! セックスは最高だろう!」
 早くイきすぎた俺を責めもせず、真琴さんは満足してくれたようだ。
 良かった。相手が初体験で。
「ちょ、ちょっと! 早くこっちも!」
「そうです! 日虎さんだけ、ずるいです!」
「き、貴様っ! 私にも早くソレを寄越すのだ!」
 後ろを向くと、女の子たちが飢えた獣のようにヨダレを垂らし、物欲しそうに、まだ熱り勃っているペニスに熱い視線を送っていた。
「いいぜ。ただし、お前らには中出しは一切しないがな!」
 法廷で弁護人に証拠を突きつける検事のように、女の子たちに人差し指を向ける。
 そして、それに対する女の子たちの反応は予想通りのものだった。
「ええっ! な、なんで!」
「プログラムが終了したんだよ……分かるだろ」
 そうだ。プログラムは終了した。だから、やるべきことは一つ……いや、三つなんだよ。
「プログラム達成は本当に凄いと思うし、おめでたいわ!」
 焦った口調でセレンが言う。
「そうだぞ! でもそれと中で出さないことに何の関係性が……」
 冷静を装っていた雅も俺の腕を掴み、懇願するような目つきでこちらを見る。
「誰も分かっていないようだな。プログラムが終了した今――」
 やれやれだぜ。こうなったら言ってやるしかないな。

「禁止されていた顔射や口内発射……それに腹の上に出すに決まっているであろう!」
 さあ、ショータイムの始まりだ。
 と言わんばかりに俺は女の子たちを次々に快楽の海へと沈めていった。

 ――ドッピュゥッ! ドピュ、ピュッ、ビュルルッ……
 女の子たちの上に、ぶち撒けまくった白く濁った液体を見つめて、
「これだよ、これ。もうっ、最高ッ……!」
 空を覆った星々を見上げ、感慨に耽る。

「も、もったいない……」
「やっぱ、お兄さん。これ、もったいないよ」
「少年〜。もったいないことしてないで、中にちょうだいよぉ〜」
 全員、口を揃えて発言したかと思えば……。
「みんなして、秋穂さんみたいな事言うなよな」
「だっ、だって……」
「ったく。仕方がない、お嬢ちゃんたちだぜ」
 俺は、よっこらせと立ち上がり、ギンギンに勃起したペニスを掴みながら、女の子たちを見下ろす。
「全員まとめて……溶けるようなセックスを施してやるぜ!」
 こんな可愛い女の子たちに囲まれて、好かれて、求められて。
 俺は何て幸せなのだろう。
 まるで……そうまるで、リア充国の王様のようだ。
 俺の全ては、あの言葉から始まった。
 口は災いの元と言うけれど、俺の場合は違う。

 俺がリア充溶けろと叫んだら、ハーレム王になりました。


 了

本編、これにて完結です。ご愛読、本当にありがとうございました。
無才乙三

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